―ワークショップオーディションからの出演者が半分以上ですけど、そのこと と『家族の肖像』という作品の成り立ち、イメージとの関係についてはどうで すか。 松井:4月に初めてワークショップオーディションということをやってみて、 応募が100人以上、実際に来てもらった人で90人くらいとワークショップをや ったんだけれども、その来てもらった人たちのレベルが高かったっていうのが まずあって。 演技の技術が高いということももちろんだし、柔軟性、台本との距離の取り方 がうまいひとたちだったというか、それは勘というのもあるかもしれないけど、 そういういい人たちを幸運にもみつけることができたので、そこから、その人 たちの「個性」…というと別の意味がつくんだけれども、「個体としての魅力」 というものが、いまけっこう台本のほうに影響してきてる、というのはある。 それは、ワークショップからやってきた結果として、物語上どこまで追い詰め てもこの人たちは大丈夫だろう、応えてくれるだろう、という安心感を得るこ とができた、というのがでかいかな。この人たちと一緒にやるとすると、これ から始めようとしている実験で、かなり高いところまでいけるんじゃないかと、 いう目論見があるというか。 ―文学座+青年団自主企画交流シリーズでの『地下室』(2006.5) 『パイドラの愛』(2008.2)という、松井さんが普段やっているのとは異なる 演技の方法を持っている俳優たちを演出した、というものがあって、今回があ る、というところがあると思います。文学座と青年団の交流シリーズにしても、 まあそうじゃなくても、ふつうは他者が稽古場に入ってくるとするとそのことで 生まれる不安みたいなものがあるもんだと思うんですが、いまの話でいくと、 今回はあまりそういうものはないという感じですか。 松井:たしかに今までの経験から、ある程度自分がブレない自信というのが多 少はついてきた、というのはあるんだけど、ただ、今回の場合は、ワークショ ップで、僕が自分のやりたいことをなるべく言葉にしながら、それをやっても らって、今回出てもらうことになったメンバーは、短い時間だったけれども、 僕の言っていることをなじませることを進んでやってくれた人たち、ていう感 触がすごくある。 芝居をするにあたってのフォーマットを身につけてきたというか、その身につ けてきたものの善し悪しは別にして、ある種、からだで一つのやり方を身につ けてきた人たち、とは別の、柔軟な人たちというのを基準に選んだというのが あって。いつもそうやって選んでいるつもりなんだけれども、それでも、から だに身につけてきたものを解く、ていう作業はけっこうやっぱり大きかったか ら、今回は、選ぶにあたって居たのが、その作業をしなくて済む人たちだった、 ていうことかな大きいのは。白紙状態、ていうのをかなり、スッとできる人た ちだったから気にしないで済むというのが。 ―その意味では『カロリーの消費』のときとかは、いちおう客演の方もいまし たけど、その部分が想像できるというか、計算のつく人たちに出てもらった、 という感じですか。 松井:今までは、自分がみてきた劇団で、どのくらいのポテンシャルをもって るのかな、ということを推測できた人たちだったんだけれども、その面で今回 は未知数というのはある。 演技のときの白紙状態というのを、意識してる部分はあるんだろうけれど、も ともと持っているという感覚がニュートラルな人たちというか。 ただまあ、まだわかんないけどね。そこは、冒険するところでもあるし楽しみ なところでもあるのでそれでいいし。 ―…起爆力にもなるかもしれないし。 松井:そうそう。
by sample03
| 2008-06-20 00:00
| 松井周インタビュー
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